こんにちは、今回は「北斗の拳」アニメを観たのでレビューします。
この「北斗の拳」には「世紀末救世主伝説」というサブタイトルがつけられているので、ずっしりと重いイメージを持つかもしれません。
実際にこのアニメの舞台は核戦争が起こった後の世紀末なので、そう感じても不思議ではありません。しかしそんな残酷な暴力だらけの世界を、北斗神拳の使い手である主人公・ケンシロウが鎮めていくという、当時にしては一風変わった設定がとても面白く感じました。また主人公の他にもさまざまな意思を持った個性豊かな登場人物が現れ、それぞれが荒れた世界を生き抜く様子が心に残りました。
もちろん「強敵」と書いて「とも」と呼ぶ者たちとの戦いを経て、人々を守る救世主として成長していく主人公のケンシロウの姿も大きな見どころです。
斬新で驚いたのは、人の体にある「秘孔」というツボを突くことで、敵の体が破壊され、破裂してしまう描写です。多少衝撃的なシーンもありますが、愛や友情、平和について描かれていて、とてもよくできた作品です。
私はこのアニメに登場するすべての男キャラクターから、「男とはこうあるべきだ」ということを教わりました。必ず正解の答えがあるわけではないけれど、それぞれが持つ独自の強さや正しさをキャラクターたちから学ぶことができたのです。
主人公・ケンシロウの宿敵・ラオウは自身を世紀末覇者と名乗り、暴力によって世界を手に入れようとします。しかし本当は、暴力では心は穏やかにならないこと、自分が愛を持つ人物に倒されることをラオウは求めていました。その愛を持つ人物こそがケンシロウです。
この「北斗の拳」という作品を最初に読んだ時には、うまく内容が理解できませんでしたが、大人に成長するにつれて男の理想の姿のひとつとして想像することができるようになりました。この作品の中に、私自身が憧れるようなキャラクターも何人か出てきました。これほどまでに私の人生に大きな影響を与えた漫画は他にありません。
このアニメには普通の教科書では学ぶことのできない戦いについても描かれているので、とても貴重です。そして男性は優しく、強くあらねばならないと思い、よりスポーツに力を入れるようになりました。
武道には正直そんなに興味はなかったのですが、北斗の拳を見始めてからはランニングを始めたり、野球などのスポーツにも精を出すようになりました。そして無口なケンシロウに感化されて、無理に口数を減らして日々を過ごしていました。今になってみると自分は単純だったなと思うのですが、それくらいこの作品には大きなパワーがあり、良い影響力がありました。今見てもそれは変わらないと思いますので、ぜひこの作品にふれてほしいと思います。
この「北斗の拳」は、原作である漫画が終わってすでに数十年が経っているのにもかかわらず、多くのスピンオフ作品や映画が作られています。今を生きる若者の間では、この作品に登場するような男性は好ましくないでしょう。むしろ奥手で草食系な男性でもかまわないというのが今の世の見解だと感じます。
この作品の中には、昭和や平成の男性がこうありたいと願う「像」が存在します。今では古いと思われてしまうこの像ですが、しかしこれは素晴らしいものなのだということを知ってほしいです。この作品にふれることで、少しでも昔に存在した、強くて優しい男性の背中を追ってほしいと思います。
暴力の部分をすすめるわけではなく、悲しみを抱えながらも強くたくましく世を生きていく男の姿などを参考にしてもらいたいのです。言葉で若い人たちに話しても届きにくい事柄ですが、この「北斗の拳」を通してならより伝わるような気がします。時代を超えて語り継がれる作品なのは間違いありませんので、ぜひ観てみてください。